♪骸骨ビルの庭(上)(下)♪
宮本 輝 (著) (講談社文庫)
おはなしは・・・
平成6年2月、47歳の八木沢省三郎は東京の大手家電メーカーを退職し、第二の人生を模索する一歩として不動産仲介業のアオヤマ・エンヴァイロメントに就職。初めての仕事は、大阪の十三の通称「骸骨ビル」に常駐し、現在住んでいる住人を立ち退かせるというものだった。
骸骨ビルは昭和16年に建てられ、戦後GHQの接収の後、建主の妾の息子として生まれ認知された息子である阿部轍正のものとなった。しかし戦地から戻った阿部轍正を待っていたのは「骸骨ビル」に住み着いていた戦争孤児たち。阿部轍正と、その友人の茂木泰造は孤児たちを見放さず育てあげたのだった。しかし、このビルが阿部轍正の手に渡ったことに恨みを持った建主の甥の策略によってビルを手放さなくてはならなくなった。阿部轍正はその策略の渦中に死んでしまい、残された茂木泰造と子供たちは失意のうちに亡くなった阿部轍正の名誉が回復されれば立ち去るといってビルに居座っているのだった。
八木沢はちょっと風変わりな彼らと交流し話を聞くうちに人の魂・・・より深い魂・・・というものに思いを馳せるようになる・・・
若い男性が縁もゆかりも無い子供を育てるというのは生半可な気持ちでは出来ない。それをやってのけた阿部轍正と茂木泰造の心情はどのようなものだったのでしょう。
親の心子知らずとよく言いますが、この「骸骨ビル」に残る孤児たちはこの育ての親の二人の気持ちをちゃんと受け止めていたのでしょうか。
受け止めていたようでも、更にもっと深いものがあると言う事を、彼らは八木沢に過去の出来事を語ることによって気付かされていきます。
私自身も「ああ、人の愛情ってこんなにも深いんだな」と改めて気付かされました。
こういう事に気付いて生きるのとそうでないのとでは人の幸福度は違ってくるのでしょうね。
本のページが残り少なくなってもなかなかラストが見えてこなくて・・・結局、ちょっと不満が残ってしまったのですが、やはりいい本だったなと感じた次第であります。
あと、美味しそうなお料理のお話も多くてとってもお腹が空いてしまう本でもありました(*^¬^*)
全然関係ないんだけど、今日から計画停電のスケジュールが組まれています。
大丈夫だろうけどちょっと憂鬱です(--;
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