♪猫鳴り♪
沼田 まほかる (著), 双葉文庫
おはなしは・・・
結婚一七年目にしてやっと宿した命を喪った藤治と信枝の元に迷い込んできた仔猫。失った子供への気持ちの整理がつかない伸江はその思いに繋がるものを忌み嫌い、仔猫を捨ててしまう。しかし仔猫は何度捨てられても再び伸江夫婦の家に戻ってきてしまう。傷ついた伸江の心を慮る藤治は伸江が仔猫を捨てることに反論はしなかったのだが・・・。
思春期の闇にとらわれた少年が仔猫と出会い・・・。
妻に先立たれた老人は愛猫の最期を見守ることで自分の死を受け入れていく・・・。
1匹の猫にまつわる3篇のお話です。
最初のお話は痛くて痛くて、辛くて辛くて。
抱え込んでしまった「心の闇」。逃れられない「恐怖」。
人の心の隙間に入り込んでくるそんな邪悪な心理。
邪悪なものに埋められた心の隙間にスルリと入り込んでくるのが1匹の猫。
その猫によって邪悪なものが少しずつ溶解されていくのです。
触れ合うことで、守ることで、与えた愛情に対して応えてくれる、そんな存在がいるってことが幸せなんだな~。
それはペットでなくても花だったり、もちろん子供だったりするんじゃないのかな?
ちょっと暗いけど優しい気持ちになれるお話でした。
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